高圧線とは
現地確認の前に住宅地図を見るときは、高圧線の鉄塔の表示に注意が必要です。鉄塔と鉄塔との間には、必ず高圧線が通っているわけですから、対象物件に影響があるか確認できます。ひと言で高圧線といっても、電圧の種別には下記3種類があります。
- 低圧(直流750V.交流600V以下)
- 高圧(直流750V.交流600V超〜7000V以下)
- 特別高圧(7000V超)
このうち、高圧線下地として不動産価格に影響があるのは、③特別高圧線の下です。
電気事業者は、安全上または保安上の条件として、特別高圧線路を施設するときは、建造物、工作物等と一定の離隔距離を保つことが義務付けられています。
電圧が17万Vを超えると、線下には建造物が建てられません。17万V以下の場合は、電線から3メートルまたは3メートル+α離れることで、線下にも建造物を建てられます(電圧により離隔距離は異なります)。
画像引用:国土交通省近畿地方整備局_高圧線下地の土地評価について
高圧線下の敷地の担保評価
どれだけ制限を受けるかによって敷地の担保評価が変わってくるため、電気事業者に当該電線が何Vなのかを確認しておく必要があります。
また、高圧線下地が敷地全体の何%を占めるかによっても評価は異なります。例えば、東京都の固定資産税評価の取扱いでは、高圧線下地の割合によって下記のように補正率を定めています。
- 20%未満 :0.90
- 20%以上50%未満:0.75
- 50%以上80%未満:0.60
- 80%以上 :0.50
高圧線の下に建物を建てることは、建築制限があるため、制限に従い建築をする必要があります。また、不動産取引では「嫌悪施設」と説明されることがあります。これらは一般的な問題であり、ケースにより異なる可能性があります。建築計画を立てる際は、慎重な判断と専門家の助言を活用することが重要です。
地役権による制限
敷地所有者と電気事業者の間では、地役権設定契約をしている場合と、送電線架設保持に関する契約をしている場合とがあります。前者の地代は原則一括払い、後者は年賦払いです。
地役権の設定がしてある土地については、利用面で一部制限されますが、条件付きながら建築可能なものもあります。
画像引用:国土交通省近畿地方整備局_高圧線下地の土地評価について