フラット35とは
「フラット35」は、公的ローンと民間ローンの中間的な要素を持つ全期間の長期固定金利型ローンで、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して扱っている住宅ローンです。
民間では扱いにくい長期固定金利の住宅ローンは、貸す側にリスクがあります。つまり長期間低い金利で固定した後で、金利が大きく上昇するとその差額を貸し手がかぶらないといけないのでリスクとなり、規模の小さい銀行では独自に取り扱うことが困難であります。
このため地方銀行や信金・信組は、変動金利や5年または10年固定金利型を銀行独自のローンで揃え、長期固定金利型についてはフラット35を導入し対応しています。
フラット35の最大の特徴は金利が固定型であることです。金利が何パーセントかは金融機関によって異なりますが、比較的低い金利であることは共通している。
特に、ここ数年続く低金利の状況においては、長期の固定金利は魅力です。こうした低金利の状況下では、長期の固定金利型を選択する人は多くなっています。
また、対象となる住宅には基準が設けられており、耐震性や省エネ性などが一定の基準を満たすと当初の金利が引き下げられる【フラット35】Sもあります。
審査基準も、現在の住宅金融支援機構は、元々は住宅購入促進を支援する政府系金融機関であったことから、現在も年収面や勤続年数、自己資金の割合など民間金融機関に比べ、条件が緩和されている部分が多くあります。
フラット35はどこで借りられるかといえば、民間金融機関の都市銀行や地方銀行をはじめ、信用金庫や信託銀行などのほか、ネット銀行や【フラット35】を専門に扱うモーゲージバンクと呼ばれる金融機関などで取り扱っています。
窓口や金利はさまざまだが、借りられる人の条件や住宅の条件などは一律で決められています。
フラット35の仕組み
フラット35は「証券化」というしくみを使って投資家から資金調達を行っています。このしくみは次のとおりです。
- 金融機関は、お客様に対して長期・固定金利の住宅ローン(フラット35)を実行します。
- 金融機関は、住宅ローンを融資すると同時に、当該住宅ローン債権を機構に譲渡します。
- 機構は、②により金融機関から譲渡された住宅ローン債権を、信託銀行等に担保目的で信託します。
- 機構は、③により信託した住宅ローン債権を担保として、住宅金融支援機構債券※を発行します。
※この債券は住宅ローン債権を担保とした資産担保証券(MBS:Mortgage Backed Security)です。 - MBSを購入した投資家は代金を機構に支払います。
- 機構は、MBSの発行代金により、金融機関に対し、住宅ローン債権の買取代金を支払います。
- お客様は金融機関に、住宅ローンの元利金の返済をします。
(金融機関は機構から管理回収業務を受託しています。) - 金融機関はお客様からの返済金を機構へ引き渡します。
- 機構は、お客様からの返済金を元に、発行したMBSについて、投資家に対し元利払いを行います。
(住宅金融支援機構HP参照)
フラット35の借入条件
項 目 | 内 容 |
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申込要件 |
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勤続年数 | 問わない |
年収 | 定めていないが。下記返済比率以内であること |
返済比率 |
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資金使途 | 申込みご本人またはご親族がお住まいになるための新築住宅の建設・購入資金または中古住宅の購入資金、または住宅ローンお借換のための資金。 |
対象となる住宅 |
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融資金額 |
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融資期間 |
次のいずれか短い方であること(1年単位)
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金利 |
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返済方法 | 元利均等返済毎月払いまたは元金均等返済毎月払い ※6ヶ月ごとのボーナス払い(お借入額の40%以内(1万円単位))も併用できます。 |
担保 | 融資対象となる住宅及びその敷地に、住宅金融支援機構を抵当権者とする第1順位の抵当権を設定 |
保証人 | なし |
団体信用生命保険 | 加入は任意 |
火災保険 | 返済終了まで火災保険に加入 |
保証料 | 不要 |
融資手数料 | 各金融機関によって異なる |
物件の審査 | 検査機関による検査が必要 |
フラット35 S とは
フラット35Sとは、購入または建築する物件が「省エネ性」や「耐震性」など質の高い住宅を取得される場合に、通常のフラット35の金利から年0.25%が一定期間引下げになる制度のことです。
フラット35 S 金利Aプラン(当初10年間金利引き下げ)
次表の(1)から(6)までのうち、いずれか1つ以上の基準を満たす住宅であること。
省エネルギー性 | (1)認定低炭素住宅 (2)一次エネルギー消費量等級5の住宅 (3)性能向上計画認定住宅(建築物省エネ法) |
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耐震性 | (4)耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)3の住宅 |
バリアフリー性 | (5)高齢者等配慮対策等級4以上の住宅 (共同建て住宅の専用部分は等級3でも可) |
耐久性・可変性 | (6)長期優良住宅 |
フラット35 S 金利Bプラン(当初5年間金利引き下げ)
次表の(1)から(6)までのうち、いずれか1つ以上の基準を満たす住宅であること。
省エネルギー性 | (1)断熱等性能等級4の住宅 (2)一次エネルギー消費量等級4以上の住宅 |
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耐震性 | (3)耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上の住宅 (4)免震建築物 |
バリアフリー性 | (5)高齢者等配慮対策等級3以上の住宅 |
耐久性・可変性 | (6)劣化対策等級3の住宅で、かつ、維持管理対策等級2以上の住宅(共同建て住宅などについては、一定の更新対策が必要) |
(住宅金融支援機構HP参照)
フラット35 リノベ
2016年10月より、中古住宅購入の時にリフォームが性能向上するものである場合には、「フラット35 リノベ」が使えるようになりました。
「フラット35 リノベ」は中古住宅を購入してリフォームする場合で、
・基準を満たす性能向上リフォームを行うこと
・中古住宅の維持保全に係る措置を行うこと
の条件を満たし、フラット35を利用する場合に、当初10年間もしくは5年間、金利が0.5%引き下げられるという制度です。
<この制度は2018年4月1日から2019年3月31日までの申込み受付分に適用>
中古住宅を購入して性能向上リフォームを行う場合、住宅事業者により性能向上リフォームが行われた中古住宅を購入する場合のいずれでも利用することができます。
性能向上リフォームは次のような内容で、その性能向上の内容により、金利Aプランと金利Bプランがあります。
金利Aプランに該当すれば金利が当初10年間 0.5%引き下げ、金利Bプランに該当すれば当初5年間0.5%引き下げられます。
フラット35 リノベ 金利Aプラン
(1)から(6)までのうち、いずれか1つ以上の基準に適合させる性能向上リフォームを行うこと。
省エネルギー性 | (1)認定低炭素住宅 (2)一次エネルギー消費量等級5の住宅 (3)性能向上計画認定住宅(建築物省エネ法) |
---|---|
耐震性 | (4)耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)3の住宅 |
バリアフリー性 | (5)高齢者等配慮対策等級4以上の住宅 (共同建て住宅の専用部分は等級3でも可) |
耐久性・可変性 | (6)長期優良住宅 |
フラット35 リノベ 金利Bプラン
(1)から(6)までのうち、いずれか1つ以上の基準に適合させる性能向上リフォームを行うこと。
省エネルギー性 | (1)断熱等性能等級4の住宅 (2)一次エネルギー消費量等級4以上の住宅 |
---|---|
耐震性 | (3)耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上の住宅 (4)免震建築物 |
バリアフリー性 | (5)高齢者等配慮対策等級3以上の住宅 |
耐久性・可変性 | (6)劣化対策等級3の住宅で、かつ、維持管理対策等級2以上の住宅(共同建て住宅などについては、一定の更新対策が必要) |
なお、気を付けなければならない点は、リフォーム工事前に適合していない基準について、リフォーム工事により上記の条件に適合させることか?要件ということです。つまり、リフォーム工事前に適合しているものがあっても対象になりません。また、現在ある建物の全部を取り壊す全部改築工事も対象外です。
性能向上リフォームの事例をご紹介
(住宅金融支援機構HP参照)
まとめ – フラット35のメリット
- 最長で35年間、借入時の金利が最終返済まで変わらない全期間固定金利の住宅ローンで、低金利時に利用するとメリットが大きい。
- 耐震性能や省エネ性能など、一定の基準を満たす住宅を取得する場合は【フラット35】Sが利用で、金利から一定期間(0.25%)引き下がられる
- 民間金融機関と比べると、申込人の審査基準が緩やかです。
・収入の制限はなく、返済比率を満たせば対象
・収入の安定度も民間に比較すると緩やか
・勤続年数も1年未満でも申し込みが可能
・自営業者の場合は1年以上の営業年数で申し込みが可能 - 借入可能額は多く借りられる。
・フラット35の金利は、融資金利で返済比率を計算するが、民間金融機関は審査金利があり3%~4%で計算するため、フラット35の借入可能額が多く借りられる。
・特に自営業者は民間金融機関の審査が厳しい - 諸費用も借りられる
・2018年4月より、諸費用を組み込んだ総額で借りられる(仲介手数料、融資手数料、火災保険料登記費用等) - 収入合算
・同居の親族で一人の収入合算が認めれる
・収入合算者が嘱託やパートでも全額収入合算が可能(民間は1/2を限度) - 資金使途
・親族がお住まいになる為の住宅でも可(親や、子供が住む為の住宅も対象)
・セカンドハウス(別荘)も対象 - 借り換え
・当初の借入期間が35年以内なら、35年まで期間を延ばせる。
(30年で借りていた場合、残存期間+5年で借り換えが可能)