「親が持っている土地や家を、自分の名義にしたい」と考える方は少なくありません。その方法としては、相続や贈与が一般的ですが、親から買い取る「親子間売買」という選択肢もあります。
ただし、親子間での売買は、ふつうの不動産取引とは少し違う点があるため、住宅ローンを使えるかどうか気になるところです。たとえば、売る値段が市場の相場と大きく違っていると、ローンの審査や税金の面で注意が必要になります。
この記事では、親子間売買で住宅ローンを組むときのポイントや気をつけたいことを、解説していきます。
親の名義になっている土地に家を建てる場合
フラット35の場合、下記ケースのそれぞれについて、融資が可能です。
1.[売買契約] 土地を買い取って子供名義にする
→ 親子間で売買契約を締結しており、かつ、所有権移転登記の登記原因が売買となるものはご融資の対象になる場合があります(直系親族間及び兄弟姉妹間の売買も同様です。)
2.[使用貸借契約] 土地の名義は親のまま、賃料を払わずに借りて、子供名義の家を建てる
→ 使用貸借契約の土地としてご融資の対象となります。ただし、使用貸借契約の場合は、敷地については必ず地主(このケースは親)に担保提供していただき、住宅金融支援機構のために第1順位の抵当権を設定していただきます。
※使用貸借契約とは、対価を受け取らずに物を貸す契約をいいます。親が子に土地を無償で貸し、その土地に自宅を建てさせるといったケースが典型です。金銭のやり取りがないため、契約書を作らないことが多いですが、フラット35契約にあたっては、事前に「地主の承諾書」の提出が必要です。
3.[借地契約](普通借地権、定期借地権または建物譲渡特約付借地権)をして子供が家を建てる
→ 地主が申込みご本人の直系親族の場合には、敷地に抵当権を設定していただきます。
※ 敷地の権利が地上権の場合は、地上権に抵当権を設定していただきます。
中古物件として買い受ける
土地の名義変更と同様に、親子間で売買契約を締結しており、かつ、所有権移転登記の登記原因が売買となるものは中古住宅としてご融資の対象になる場合があります。
中古物件として必要となる書面
- 不動産売買契約書
売買代金・支払期日・引渡期日、契約解除の方法についての条項を記載した契約書。
- 重要事項説明書
売買物件に隣接している道路の種類や制限、水道や電気などのライフラインに関する重要な事項を記載した説明書。宅地建物取引士が重要事項の説明を口頭で行う必要があります。親子間の売買であってもこの書面は必須ですので、売買にあたっては不動産業者の仲介をお願いすることになります。
- 適合証明書
機構の定める技術基準に適合しているかどうかについて適合証明(物件検査)を受けていただく必要があります。一部、適合証明書証明書提出が不要なマンションもあります。
※フラット35相談センターは宅地建物取引業者として、不動産取引に関するご相談に応じます。
A.B.I株式会社 大臣免許(02)第009602号
※適合証明書発行に関する検査機関等に関してもお問い合わせください。
融資対象外となるケース
申込人が申込前に購入物件に既に入居している場合で、次の①または②に該当するときは、ご融資の対象になりません。
① 融資対象住宅に売主及び買主(申込人)が同居しているとき(現入居者間の売買)。
② 融資対象住宅に売主は居住していないが、申込人が売主から使用貸借しているとき。