新型コロナウイルスと保険

休業補償保険の概要

損害保険会社が発売している商品に「(店舗)休業補償保険」または「(店舗)休業補償特約」というものがあります。

商品概要は、営業施設が災害や事故で営業休止または阻害されたときに、復旧までの期間の粗利益と、休業日数の短縮に必要な費用を支払う保険です。

具体的には、施設が火災、爆発、落雷、風災、水災等の災害によって営業出来なくなった場合の休業補償です。

保険会社によっては、これらの災害で隣接物件に損害があったことが原因で営業停止に追い込まれた場合や、電気・水道・ガス等のユーティリティ設備が損害を被ったことで営業出来なくなった場合まで補償する保険もあります。

「休業補償特約」の場合は、火災保険等にセットして加入します。

食中毒や特定感染症の場合も補償に

休業補償保険は上記の災害に加えて、営業施設内で製造、販売、提供した食品が原因で発生した食中毒が原因で営業を休止した場合も補償の対象となります。

また、営業施設内で発生した「特定感染症」により営業を休止した場合も補償対象となります。
※対象となる施設発生感染症については「特定感染症」という文言で記されています。

特定感染症とは

この保険の対象の特定感染症とは、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」第6条に規定する「一類感染症」「二類感染症」「三類感染症」のことを言います。

特定感染症
  • 「一類感染症」=エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱
  • 「二類感染症」=急性灰色髄炎(ポリオ)、結核、ジフテリア、SARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)、鳥インフルエンザ
  • 「三類感染症」=コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症(O-157を含む)、腸チフス、パラチフス

現時点では以上となっております。

つまり、現時点では今回発生している「新型コロナウイルス」よる感染症が施設内で発生したことによる休業補償は得られないという事になります。

因みに、SARS(SARSコロナウイルス)やMERS(MERSコロナウイルス)は比較的新しい感染症ですが、現在は二類感染症に指定されているため、新型コロナウイルスもいずれは特定感染症に指定されると思われます。

生命保険での対応

損害保険商品では休業補償保険(特約)や、それに類する保険では「特定感染症」が施設内で発生した場合には保険金がおりる規程になっています。逆に言えば「特定感染症」に指定されていない未知の感染症が発生した場合には補償対象外となります。

「生命保険や医療保険」の商品では、当然の話ですが、未知の感染症が原因であっても入院や手術をした場合には疾病入院給付金・疾病手術給付金が給付されます。不幸にして亡くなった場合には病気死亡保険金が支払われます。

健康に自信がある人でも、今回のように感染症が蔓延する環境下では生命保険の保障を厚くしておくことも必要かもしれません。

特に経営者や個人事業主は、自分が入院することで治療費だけではなく売上や利益、資金繰りに影響を与えるため、入院時等の日額保障を引き上げておくことをおすすめします。

感染症対応任意労災保険

一部の損害保険会社では、従業員の業務中のケガに加え「感染症」や「特定疾病」の場合にも補償される任意労災保険を販売しています。この場合の「感染症」の定義は上記の特定感染症(一類、二類、三類)に限定するものではなく、新型ウイルス感染でも補償されます。

この保険は施設の休業補償保険ではなく、あくまでも従業員が業務中に負った死亡・入院・通院補償となります。

「新型コロナウイルスと休業補償保険」まとめ

現在、新型コロナウイルスの感染が広がってきており、各種イベントが中止や延期となっています。

損害保険会社と締結している興行中止保険等は、天候不順等が原因で中止をした場合には保険が適用となりますが、今回のように感染防止のため中止する場合は補償されません。同様に店舗休業保険も新型コロナウイルスが原因で休業する場合は保険が適用になりません。

現時点で取れる対策としては、政府が発表しているように人混みを避け不要不急の外出をしないことが一番ですが、損害保険・生命保険を通じて出来る対策は、下記になります。

損害保険・生命保険を通じて出来る対策
  1. 一部の損害保険会社が発売している「感染症」対応任意労災保険を検討して従業員の入院等に備える。
  2. 生命保険や医療保険の疾病入院日額等を厚くしておく。特に経営者や個人事業主。
  3. 今回の新型コロナウイルス感染症が原因では対象外だが、今後に備え店舗の火災保険に「休業補償特約」等をセットすることを検討する。

特に③については、現状でも仮に鳥インフルエンザやSARSが営業施設内で発生した場合には保険の対象になりますし、数年後には「新型コロナウイルス」も特定感染症に指定されるはずですので、今のうちに「休業補償保険(特約)」に加入を検討する必要があります。