結婚し、第一子が誕生して、マイホームが欲しくなる30代。とは言え、子供には手がかかり、これからの収入増加はあまり期待できない世の中。教育資金も気になるし、安定した将来を見渡せないと感じる場合は、金利上昇リスクをとらない住宅ローンを選ぶのが鉄則です。
一家で出かけることも多いため、マイカーローン等を抱えることも多い年代。他の借入は住宅ローン借入限度に大きな影響を及ぼすことも認識しておきましょう。
住宅ローンを利用する世代で一番多いのが30才代。以下はお子さんの成長を中心に置きつつ、ご家族が安心して暮らせる住宅ローンのご提案例です。
- 教育費負担に耐えられる生活費設計が肝心。
- 金利上昇リスクを負わないローン選びが基本。
- 借入期間は35年フルで。子供独立後に繰上返済を検討。
30代・3人家族の例
夫婦と子供1人の3人家族。2人目の子供の予定がない様子なので世帯年収に占める教育費の割合は比較的少なく済みます。とは言え、お子さんが私立大学等に進学するとなると支出は多額になります。教育費支出のピークを超えるまでは余裕を持った住宅ローン返済ができるように計画をたてましょう。
ご相談者の例
◗ 家族構成
夫:37才・会社員(勤続10年)
妻:34才・専業主婦
子供:長男 6歳
◗ 年収
夫:560万円
妻: 0円
◗ 貯蓄
(世帯合計)680万円(今使える金額)
※妻は子供が生まれるまで12年間会社勤め。この間の貯蓄がありました。
◗ 現在の住まい
民間賃貸アパート 家賃月額 9.5万円
◗ 他の借入
マイカーローン 残高120万円(月返済額 3.6万円)
◗ 物件価格
新築建売住宅(フラット35S-A:省エネ:長期優良住宅)
4,200万円+諸経費250万円=4,450万円
ご提案シミュレーション
お客様のご希望は、将来に向けた資金的な不安から、手元資金には手を付けたくないとの考えがあり、マイカーローンを残し(返済を継続)ながら、頭金も出さずフルローン(100%借入)での借り入れを希望されました。これに対し、実際の借入内容は下記の通りとなりました。
▷ フラット35 借入額 4,000万円
▷ 自己資金 570万円
・貯蓄からマイカーローン120万円を完済。
・貯蓄から頭金(自己資金)として450万円(住宅4,450万-借入4,000万)を投入。
・手元に残った貯蓄は110万円。一般的に手元に残しておくべき貯蓄は月収の4ヶ月分と言われます。少し足りなくなった分は、2か月分程度が見込める次のボーナスを貯蓄に回すことにしました。
▷ ローンの種類 フラット35 : 35年返済
ボーナス払い無し・元利均等返済
※借入期間はあとで短縮できます(繰上返済)が、延長はできません。
現在の収入・家賃とローンの差額等から、借入期間は35年以下でも可能かも、という夫の意見もありましたが、住宅ローンは、将来の想定外のリスクを考慮して無理のない範囲で借入し、様子をみながら繰り上げ返済をし、完済期間を早めていくのがセオリーです。【フラット35】はネットで簡単に一部繰上返済の手続きができ、手数料も無料です。
▷ 融資率 89.9%
借入4,000万円/資金計画4,450万円
・融資率が9割を超えると、融資金利がアップします。自己資金を450万円投入することで融資率を9割以内に抑えました。
・マイカーローン(返済月額3.6万円)を残したままにすると、総返済比率がアップするため、借入可能額は3,953万円が上限となってしまい、結局自己資金が497万円必要となり、資金計画も借り入れ条件も悪化してしまいます。また、ディーラーローンの金利は8%と高めだったこと、手元資金にも余裕があったので完済することにしました。マイカーローンを返済することで借入限度は5,070万円まで広がりますが、購入住宅は決定済でしたので、所要資金は変更しませんでした。
▷ 金利の例(全期間固定金利):適用金利は資金受取時の金利となります。
・融資率9割以下の例: 年1.82%(融資率9割以上の場合の例: 年1.93%)
※ 当初5年間 1.00%金利引下げ (4ポイント)
・子育てプラス(子供一人:1ポイント)
・長期優良住宅(1ポイント)
・フラット35S-A 省エネ(2ポイント)
▷ 毎月返済額
・当初5年間 11.0万円
・6年目以降 12.7万円
・返済総額 5,198万円
30代・子供1人の家族の場合のアドバイス
- フラット35は、最長35年のローンを組むことができます。将来に向けて、収入と、住宅ローンを含む支出合計の差額がマイナスにならないように返済計画を立てましょう。
- 今回の例の場合、65才の定年予定までは28年ですが、支出のピークを乗り越えるため、許容限度一杯の長期(35年)で借り入れし、返済月額を抑えます。教育費の支払いが山場を過ぎる53才以降、収支の様子をみながら、老後資金の準備や繰上返済を検討しましょう。余裕ができ次第繰り上げ返済をしてゆくという意識を継続し、返済の期間短縮を図っていきましょう。
- 教育費が増加するまでの間、余裕ある資金は貯蓄にも心がけましょう。積立NISAや学資保険などの活用もお勧めします。
- 若いうちは団信加入にも問題ないと思いますが、団信はあくまでも住宅ローンだけの対応です。万一の際のご家族の生活を守るための生命保険も併せて考えましょう。
- 住宅ローン控除もフル活用しましょう。
- 返済比率には余裕がありますが、消費意欲が高い世代ですので、夫婦共にマイカーローンやクレジット分割払い等の支払いを抱えていることが多いです。このような返済額の加算があると、融資限度に大きな影響を与えます。世帯の収支等を一度立ち止まって見直すには、「事前審査」を受けてみることがとても重要です。
たとえ市中金利や物価が上昇しても、資金受取時に確定した借入金利と返済額がずっと変わらない「全期間固定金利型」の住宅ローン【フラット35】なら、ライフプランを計画的に見通すことができるから安心です。