家とローン金利

住宅ローンには大きく分けて次の2つの系統があります。
都市銀行、地方銀行、ネット銀行、労働金庫などの民間金融機関によるもの。
もう一つは、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)による国の政策の後押しを受けた公的な長期間固定金利ローン「フラット35」です。

民間金融機関の住宅ローンのタイプ

民間金融機関による融資には「全期間固定金利型」「固定期間選択型」「変動金利型」があります。

全期間固定金利型

住宅ローンを借りている間の金利が変動しないタイプで、借入時に金利と総返済額が決定します。

固定期間選択型

3年間や5年間等、一定期間を固定金利にして安めに抑えることが出来ます。期間が終了した時点で変動金利型にするか、再度固定金利型にするか選択する必要がありますが、その際はその時勢の金利が反映されます。

変動金利型

その名の通り一定期間ごとに金利が変動します。半年ごとに金利が見直される商品が一般的です。

これらの民間金融機関による住宅ローンの場合、全期間固定型よりは固定期間選択型や変動金利型の方が金利は低く設定されています。また固定期間が短ければ短いほど金利が低くなっています。
例えば全期間固定型では金利1.7%の金融機関の住宅ローンの場合、10年固定型は1.0%。5年固定型は0.95%。3年固定型は0.9%。
変動金利型は0.875%といった具合になっていて、この金利は毎月の返済金額を計算する上で適用する金利になります。

民間金融機関の「審査金利」とは

住宅ローンの借入額を計算するにあたって、店頭表示金利の他に、銀行内部にはもう一つ「審査金利」というものがあります。
金融機関によってこの審査金利は異なりますが概ね3%程度となっています。

店頭で変動金利0.875%の住宅ローンの借入申込をしても、銀行内では3%の金利として貸出額を審査するのです。
例えば年収300万円の方が上記条件で借入申込をした場合、借入可能額は1,950万円程度となります。
民間金融機関では実際に融資をする金利ではなく、リスクを鑑みた審査用の金利で査定をするため借入可能額はある程度抑えられた金額となります。

フラット35の「審査金利」は店頭金利と一緒

一方、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の長期固定金利ローン「フラット35」の場合は、店頭金利と審査金利が同じです。
年収300万円の方が店頭金利1.27%(借入期間21年以上、融資割合9割以下。令和元年6月金利)で借入申込をした場合、審査金利も1.27%となり借入可能額は2,542万円となります。
この様に同じ年収300万円の方の場合、フラット35の方が民間銀行の融資額よりも590万円程度融資可能額が多くなります。
民間金融機関では1,950万円までしか認可がおりない場合でも、フラット35では2,542万円の借入が可能ですので両方申込みをしてみて条件を比較することをお勧めします。

そもそも「フラット35」って何?

フラット35は住宅金融支援機構が行う性能の高い住宅の普及を促すために国が後押しする公的な住宅ローンです。

(詳細は下記をご確認下さい)

申込要件等、主な内容は全国共通ですが商品を提供するのは民間の金融機関で、金利のタイプは全期間固定型のみとなります。フラット35の「35」は35年固定金利という意味で、最長35年間の長期固定金利の住宅ローンです。最長35年間ですので借入期間はそれ以下でも可能です。

フラット35の金利は融資割合と借入期間で変わる

金利は物件価格の9割超融資9割以下融資の2つに分かれていて、借入金額を物件の9割以下にすると金利を低く抑えることができます。
また、借入期間も20年以下と21年以上に分かれていて、借入20年以下の場合は金利が低く抑えられます。
これらを表にまとめてみます。

物件価格の9割超~100%の借入の場合(令和元年6月融資の場合)

借入期間 金利
20年以下 年1.65%
21年~35年 年1.71%

物件価格の9割以下の借入の場合(令和元年6月融資の場合)

借入期間 金利
20年以下 年1.21%
21年~35年 年1.27%

表のように、フラット35で物件価格100%を借入することもできますが、物件価格の9割以下の借入の場合と9割超の借入金利の差が大きいため、通常はフラット35を9割まで借入します。
残りの1割につきましては自己資金を用意するか、もしくは民間金融機関のローンを利用します。
物件の1割について民間金融機関のローンを組んだ場合、フラット35の金利よりは高い金利が適用されますが、100%フラット35を借入するよりも総返済額は少なく済みます。

「フラット35で100%」の場合と「フラット35で90%+民間ローン10%」比較

フラット35で100%

物件価格3,000万円をフラット35で35年間返済にて100%借りた場合、1.71%の金利が適用になり総返済額は3,989万円になります。

フラット35で90%+民間ローン10%

一方、物件価格3,000万円をフラット35で9割の2,700万円借入すると金利は1.27%。1割に当たる300万円を某民間金融機関2%で借入した場合、2つのローンの合計総返済額は3,763万円となり、220万円以上お得になります。

因みに借入期間を35年間ではなく20年以下にすると金利が下がり総返済額は少なくなります。また物件価格の9割以下借入の場合、1.21%が審査金利になりますので借入可能額は増加することになります。

借入期間を35年間ではなく20年で計算してみると3,000万円を100%借りた場合、金利1.65%が適用になり、総返済額3,524万円となります。
フラット35で2,700万円を20年間返済、1割部分を某民間金融機関2%で20年間借入した場合、2つのローンの合計総返済額は3,405万円となり、返済額は少なく済みます。

「フラット35 S」って何?

そもそもフラット35は性能の高い住宅の普及を目指しているため、融資の条件として住宅の耐熱性や耐久性に一定の技術基準が定められています。
このフラット35の基準を満たした上で、さらに省エネルギー性耐震性バリアフリー性などに優れた質の高い住宅の認定を受けると借入金利を一定期間引き下げた「フラット35 S」を利用できます。

フラット35 Sの特徴

大きな特徴は当初5年間または10年間、借入金利を0.25%引き下げられることです。
5年間の引き下げと10年間との期間の違いは住宅の性能の高さによります。

例えば、借入額2,500万円でフラット35の金利1.27%(借入期間21年以上、融資割合9割以下。令和元年6月融資の場合)の場合、総返済額は3,100万円になります。
一方、住宅性能が高い10年間金利引き下げのフラット35Sの認定物件を購入する場合は、10年間金利が0.25%引き下げられ、1.02%となります。11年目からは本来金利の1.27%になりますが、総返済額は3,038万円となり62万円少なく済みます。

団信保険料が金利に含まれる

住宅ローンを借りる際、借りた本人が亡くなった場合にローンが完済になる生命保険団信保険)に加入します。

民間金融機関

民間金融機関の住宅ローンでは団信保険の保険料は金利に組み込まれています。
また、住宅ローンでは団信保険への加入が必須となっているため、持病があり生命保険に加入出来ない場合には審査が通過しないことになります。

フラット35

一方、フラット35の場合は団信保険への加入は任意となっています。団信保険に加入しなくても住宅ローンが組めるのです。
従来のフラット35は団信保険料を毎月の返済額とは別に、年払いで支払う必要がありました。
しかしながら、2017年10月からは民間金融機関の住宅ローンと同様に団信保険料が金利に含まれることになりました。
※前述の金利表にはすべて団信保険料が組み込まれた金利が表示されています

団信保険には健康状態の告知診査があり、持病の関係でフラット35の団信保険に加入出来ない場合には、表示金利から0.2%を差し引き、団信保険無しとして融資になります。
融資は実行になりますが、債務者が万が一の場合、住宅ローンの債務は相続されますので奥様やお子様、両親とよく話し合って話を進めるべきでしょう。

フラット35は保証料が不要

民間金融機関の住宅ローンと、公的住宅ローンのフラット35の違いはまだあります。

民間金融機関の住宅ローン

民間住宅ローンの場合、返済不能の事態に備え、契約者が保証料を支払い保証会社にリスクを肩代わりしてもらいます。そのための保証料を支払う必要があります。

注意点として契約者が返済不能になった場合、保証会社は金融機関に残債を支払いますが、保証会社は契約者に返済を求めてきます。
返済する相手が金融機関から保証会社に変わるだけのことで保証料を支払ったからと言って返済免除になる訳ではありません。
保証料は借入額と借入期間によって計算されますが、契約者の職業が公務員や上場企業のサラリーマン等では保証料は低く、逆に事業の継続性や収入が不安定な方は保証料が高くなります。

フラット35

一方、フラット35は保証料が必要ありません。
収入が不安定になりがちな職種の方や、売上高が変動する自営業の方などもフラット35には保証料は不要なのです。比較をしてみると保証料がかからない事が如何に有利か判断できます。
下記の表を参考にしてみてください。

1,000万円を35年間 借入する場合の比較

職業リスク小の方の場合

民間住宅ローン(A銀行) フラット35(代表例)
融資事務手数料 32,400円 216,000円
保証料 206,110円 0円
合計 238,510円 216,000円

職業リスク大の方の場合

民間住宅ローン(A銀行) フラット35(代表例)
融資事務手数料 32,400円 216,000円
保証料 721,470円 0円
合計 753,870円 216,000円

フラット35の年収要件

フラット35は取扱い金融機関で金利や融資事務手数料が異なります。
しかしながら年収から算出する借入可能額借入期間収入合算者の規程等は統一されています。
借入をする人(主債務者)1人で申し込む場合と、配偶者等の収入合算者を1人追加して申し込む場合があります。
収入合算者は配偶者や親や子供になりますがそのうち1人だけが対象となります。また婚約者や内縁関係にある方でも収入合算できます。収入合算者は「連帯債務者」になります。

フラット35の場合、借入可能額は明確化されており、年収に占める住宅ローンの返済負担率を次の2つに分けています。

年収400万円未満

年収(または収入合算後の年収)が400万円未満の場合、住宅ローンの返済の負担率は30%以下となります。
例えば、夫婦の年収を合算すると350万円の場合、
350万円×30%=105万円となり、年間105万円までの住宅ローンが組めることになります。
月割りすると87,500円の住宅ローンとなります。
因みにですが現在の金利水準(1.27%)で35年間の借入シミュレーションをすると2,900万円程借りることが可能です。

年収400万円以上

年収(または収入合算後の年収)が400万円以上の場合、住宅ローンの返済負担率は35%以下となります。
例えば、夫婦の年収を合算すると400万円の場合、
400万円×35%=140万円となり、年間140万円までの住宅ローンが組めることになります。
月割りすると116,666円の住宅ローンとなります。
現在の金利水準(1.27%)で35年間の借入シミュレーションをすると3,900万円程借りることが可能です。

ただし、上記の借入可能額につきまして自動車ローン教育ローンカードローン等、他の借入がある場合にはその分借入可能額が少なくなります。
年収400万円未満」の場合、自動車ローンで毎月2万円のローンを支払っていれば87,500円から2万円を引いた67,500円までが住宅ローンを組める金額となります。
その場合、借入可能額は2,200万円となります。
もし、どうしても2,900万円を借入申込みしたい場合は、既存の借入を住宅ローンの融資前までに一括返済する事で2,900万円の住宅ローンが融資可能となります。

フラット35の審査は1年間の年収

フラット35の場合、民間金融機関と異なるのは審査する年収が前年1年間のみである点が挙げられます。
2年以上継続して収入がある必要はありますが、いくら融資が可能なのかは前年の年収を返済比率の計算式に当てはめて計算しますので、自身でも資金計画が立てやすいと言えます。

夫婦合算した前年の年収が400万円以上ある場合には3,900万円程の住宅ローンが借入できる可能性がありますので、住宅購入を考えている場合には大きなチャンスと言えます。

金利が低い今がチャンス

参考までに、金利が上昇局面にあり2%の時勢になった場合には3,400万円が借入可能金額となります。
現在の金利1.27%で3,900万円借りられる状況と比較して、借りられる金額が500万円も少なくなり、僅かな金利上昇で数百万円も借りられる金額が違ってきます。

更に驚きは、1.27%で3,900万円借りた場合と、2%で3,400万円借りた場合とでは35年間の総返済額はほぼ一緒なのです。

全期間固定金利の公的ローンの「フラット35」は融資時に金利が決定して返済完了まで決定した金利が続きます。
また、民間金融機関よりも借入可能額が多めに確保でき、民間金融機関で必要な保証料が不要で、団信保険加入は任意となっております。
フラット35の優位性と、金利の低い今の状況がいかに有利かお分かり頂けたと思います。